乾燥肌はお肌だけの問題か?乾燥肌の原因。
乾燥肌がひどく悩みの種になっている人と、そうでもない人がいます。個人差は大きいのです。乾燥肌の原因について考えてみます。
①生まれ持った肌質、体質
家系的、遺伝的な要素は大きいです。アレルギー体質の人、中でもアトピー性皮膚炎をお持ちの方は乾燥肌が強い傾向があります。
②性差
男性は男性ホルモンが多く皮脂分泌が女性より活発なためオイリーで、女性に比べて乾燥肌は軽度と思われがちです。しかしながらオイリーなのは顔や頭、胸、背中などの脂漏部位(皮脂腺の多いところ)に限ったことで、それ以外の部分は女性とそれほど変わりがありません。むしろ髭剃りなどの影響で頬から顎にかけてはむしろ乾燥肌傾向が強い側面もあります。また男性の肌の特徴として、女性に比べて保水力が弱く(水分蒸散量が多い)肌の含有水分量が少ないとの報告もあります。
「女性は全体に乾燥肌傾向があるが、男性は脂漏部位(顔、頭、胸。背中)以外はむしろ女性より乾燥肌である」と言えます。
③エイジング(年齢)
乳幼児から学童期の子供は乾燥肌傾向が強い特徴があります。大人の肌に比べて肌の角質層が薄く、皮脂腺が未熟であるためです。中学生以降は男性ホルモンの影響で皮脂分泌が活発になり、角質の厚さも大人並みになります。中学生から成人にかけてが最も潤った健康的な肌の時期と言えるでしょう。
しかしながら成人以降は、徐々に再び乾燥肌傾向が強まります。特に中年以降はお肌の含有水分量と保水機能が低下してきます。エイジングと並行して発汗量も減少しさらに乾燥が強まります。天然保湿因子の減少、皮脂腺の分泌低下、セラミドなどの細胞間脂質の減少などがさらに乾燥肌を助長してしまいます。
このように「エイジングと並行して乾燥肌が強まる」のは避けがたい現実です。
④季節
冬季は空気が乾燥しますのでお肌も乾燥しがちです。「夏の間は何ともなかったのに、冬になるとカサカサして痒い」というのはこのためです。特に肌着や衣服がこすれる腰回り、すねなどは顕著に乾燥します。
⑤偏食
バランスの取れた食事は肌の健康に不可欠です。偏食、特に野菜や魚の摂取不足から、ビタミンAやビタミンB群が不足すると肌荒れを起こしやすくなります。
⑥疲れ・ストレス
疲れやストレスの状況下では消化管からのミネラル(鉄分・亜鉛・カルシウム・マグネシウム等)の吸収が低下します。結果的にミネラルの不足が起こります。特に亜鉛(細胞分裂を行うのに必要です)が不足すると新陳代謝が悪くなり、皮膚の角質細胞の生まれ変わりが阻害され、肌荒れを起こします。またカルシウムの不足はイライラを起こすなど、結果的にストレスを増長します。
ストレスはビタミンを消費します。そのためビタミン不足状態に陥るのです。なめらかな健康な皮膚を保つのに必要なビタミン類(A・B2・B6・C等)も不足し、肌荒れが進行します。
ストレスは、皮膚のバリアー機能(乾燥を防ぎ外界からの刺激から皮膚を守る機能)を低下させます。肌荒れを助長してしまいます。
⑦誤ったスキンケア
お肌を清潔に保ちたいがために過剰な洗顔をしたりゴシゴシこすって体を洗ったりしていると、当然お肌は傷つき乾燥してしまいます。
乾燥を防ごうと過剰に油分の多い基礎化粧品を使用していると、皮脂を閉じ込め脂漏性皮膚炎を起こしてしまうことがあります。すると炎症による熱や表皮剥離のため肌荒れが起こり結果的に乾燥してしまいます。
このように乾燥肌の原因は多岐にわたっており多因子と言ってよいでしょう。
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<2/11/2018 札幌市 中央区 皮膚科・形成外科 宮の森スキンケア診療室>