内臓疾患とお肌の関係 | 札幌中央区ニキビ・アトピー治療なら宮の森スキンケア診療室

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内臓疾患とお肌の関係

そのかゆみは、糖尿病やガンの症状かも知れません。

皮膚は体の健康状態を映す鏡です。
皮膚には、体内の臓器あるいは体内環境の変化がそのまま反映されることがあります。

内臓疾患と関係する皮膚変化のことを「デルマドローム」といいます。
しかしながら、ある一つの皮膚症状が一つの内臓疾患と直接結び付くとは必ずしも言えません。
ある皮膚症状が、体内のどこかの変化を間接的に反映している可能性を考慮して、内臓疾患・内臓病変との関連の有無を確認していくことになります。内臓疾患以外にも、糖尿病や甲状腺などのホルモンや内分泌系の異常でも皮膚や爪、髪の毛などに影響が出ることがあります。

ここでは、我々にとって身近な疾病である肝臓病・糖尿病・高脂血症・腎臓病・内臓悪性腫瘍などにおける皮膚の変化について触れてみます。

臓器疾患と皮膚症状

肝臓病

肝臓病と言えばお酒の飲み過ぎをイメージすることが多いと思いますが、肝炎ウイルスが原因だったり薬剤性だったり自己免疫性だったり多岐にわたります。
軽度の障害なら特に皮膚症状はありませんが、悪化すると血中のビリルビン値が上昇し皮膚が黄色く黄染(黄疸)します。
またクモが細い脚を延ばしたような赤い斑点(クモ状血管腫)が頚部や胸部に現れ、手掌がまだらに赤くなり(手掌紅斑)、顔面や頚部、胸部において網目状に毛細血管が不規則に広がり紙幣を透かしたように見える(紙幣状皮膚)など、皮膚の毛細血管の変化が特徴的に見られます。
爪全体が白くなったり、原因が不明の皮膚の掻痒感が出現したりすることもあります。

糖尿病

糖尿病は、「高血糖」をはじめとする代謝異常、「血管障害」、細菌などに対する「免疫力低下」による各種感染症などをきたす全身性疾患です。
高血糖状態が続くと自律神経が侵され自然発汗が低下し、さらに多尿などの影響で全身が脱水傾向になります。その結果皮膚の乾燥が進み、湿疹・皮膚炎を起こしやすくなります。これと関連して全身に痒みを感じやすくなります(皮膚掻痒症)。
特徴的な血管障害より、主に足や足の指に難治性の潰瘍が出現し、進行すると壊死(糖尿病性壊疽)を起こすことがあります。患部の切断を余儀なくされることもあります。
吹き出物(毛包炎)やおでき(:せつ)ができやすくなり、水虫にもかかりやすくなります。また帯状疱疹を発症しやすくなります。

高脂血症

高脂血症では、黄色から赤褐色の大小の結節型あるいは扁平型の腫瘍(黄色腫)が、手足の関節部やアキレス腱、眼瞼などにみられることがあります。
高脂血症とは無関係の場合もありますが、黄色腫があれば高脂血症の有無を検索すべきです。
「目頭の周りに黄色っぽいしこりがめだってきたなあ・・・」と思ったら要注意です。

腎臓病

急性腎炎は、感染症、自己免疫疾患、遺伝性疾患など様々な原因で起こります。
この時は特に皮膚症状ははっきりせず、目の周りが腫れぼったくなるなどむくみの症状が見られます。
何らかの原因で慢性腎炎へと移行すると、腎機能はさらに低下し場合によっては腎不全となり人工透析が必要になることがあります。
特徴的な皮膚症状として、皮膚掻痒症があります。
腎臓は体内の老廃物を血液からろ過して尿へ排出する臓器です。
腎臓の機能が悪くなると老廃物が血液や皮膚にたまってしまいます。
それら老廃物は皮膚のかゆみ受容体であるミュー・ペプチド受容体を刺激し、その電気信号が脳へ伝わってかゆみを感じます。
その他、皮膚の乾燥、発汗の低下、皮膚の褐色の色素沈着、爪の白色変化と変形、などが見られます。

内臓悪性腫瘍

内臓に悪性腫瘍があると、それに関連して皮膚症状が現れることがあります。大きく分けて、
①内臓の悪性腫瘍に伴って起きる皮膚症状、②内臓の悪性腫瘍を高率に合併する皮膚病変、に分けられます。

① 消化器系悪性腫瘍、悪性リンパ腫などで「皮膚掻痒症」の頻度が高い傾向があります。
ほぼ全身が紅斑をきたす「紅皮症」が、悪性リンパ腫や白血病、時に胃がんや肺がんでも見られます。

② 首やワキの下、鼠径部などにおいて皮膚の色が黒く変色し皮膚が厚くなった「黒色表皮腫」が、胃がんに多く合併することが知られています。
茶色く盛り上がった大小様々な老人性イボ(脂漏性角化症)が数週間から数か月の間に全身に多発し、時に掻痒を伴う「レーザー・トレラ症候群」が、胃がんや大腸がん、悪性リンパ腫などの際によく見られます。
その他、持続性に存在する木目状や環状の紅斑が、内臓悪性腫瘍などに高率に合併します。

このように皮膚症状が実は内科的疾患のサインだったりすることが多くあります。
よくかゆみを訴える患者さんから、どこか内臓が悪いのでしょうか?とよく尋ねられます。
にわかに関連性を疑うことは少ないですが、長引く場合や治療に抵抗性の場合、関連性を疑ってみる必要があります。
診察の際にご相談ください。

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