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上手な保湿とは | 札幌中央区ニキビ・アトピー・漢方治療宮の森スキンケア診療室

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お肌の基礎知識

vol.4

上手な保湿とは

乾燥肌そのもの、そして乾燥肌から生じる湿疹など皮膚のトラブルからお肌を守るには、保湿剤の使用が望まれます。しかしただ漫然と保湿剤を使用しているよりも、より上手な保湿を心がけた方が効率的で効果的な保湿が可能です。

①保湿のタイミング

一般的には、肌が最も潤う入浴直後が良いとされています。何故なら、肌の角層が入浴によって膨潤している時の方が、保湿剤の角層への浸透がよいからです。加えて、入浴によって皮脂が取れてしまうため、放置すれば皮膚の乾燥が進行してしまうからです。
入浴中に皮膚に吸収された水分は約10分で元の水分量に戻ると言われています。ですから入浴後10分以内の保湿剤の使用が望まれます。

しかしながら、これには十分なエビデンス(証拠)がないようです。入浴直後と30分後の保湿剤塗布による角質水分量には大きな差はなかった、という研究結果が出ています。また同様の研究で、入浴直後と1時間後の保湿剤塗布による結果でも、角質水分量の差はなかったようです。ですから入浴直後に塗布することができない方は無理に行わなくても良いと思われます。”入浴後早いうちの保湿が角質水分量を維持するのに理想的”との考えを否定的に捉えるより、”入浴後タオルで体を拭いたら風邪を引かないように体が冷える前に速やかに保湿剤を塗布すべし”と別の観点で考えても良いかと思います。

②保湿剤の使用量

たくさん塗った方が保湿効果が高いような気がしますが、摘量塗布の目安があります。”指の先端から第一関節まで”をFTU(フィンガー・チップ・ユニット)と言います。この指の先端から第一関節までチューブから外用薬を伸ばした量を1FTUとして、これを”両手のひら相当の範囲に塗布する”のが理想的とされています。それ以上の量を塗っても保湿効果に影響しないという研究結果が出ています。ですから塗れば塗るほど保湿効果が高くなるわけではないのです。かえってべたつき感が不快の原因になるかもしれません。適量をしっかり塗るのが大切です。

③保湿剤を使用する回数

”一日1回塗るより、一日2回塗った方が明らかに保湿効果が高い”という研究結果が出ています。特に忙しい朝に保湿剤を塗るのは大変煩わしいですが、朝と夜(可能なら入浴後)の2回の保湿剤の塗布が効果的です。

④保湿剤の剤形の使い分け

剤型によっても若干の保湿効果の違いが生じます。ヘパリン類似物質含有保湿剤(ヒルドイド等)の場合、”ローション剤の方が、クリーム剤(ソフト軟膏を含む)よりも10%程度保湿効果が高い”ようです。

しかしながら使用感も重要な要素です。”手早くローションで保湿するのが好き”と言う人もいれば、”クリーム剤の使用の方が保湿された感じが高くて好き”と言う人もいます。また”夏はローション冬はクリーム”といった使い分けも賢い使い方です。最近ではフォーム(泡)タイプもあります。スペックにこだわらず、自分にとって心地よい保湿剤の選択が継続した保湿につながります。

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<23/11/2018 札幌市 中央区 皮膚科・形成外科 宮の森スキンケア診療室>

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